不適切

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 中央競馬はこの春、G1に向けた前哨戦でダントツの人気馬が敗れる波乱が続いている。昨日は牝馬3冠を昨年制した女王デアリングタクトが、G2金鯱賞で追い込み届かずまさかの2着。五つのレースで1着を当てる「WIN5」の払い戻し金は、史上最高の5億円超えだった。馬たちも何かを感じているのかもしれない。

 日本中央競馬会で先日、持続化給付金の不適切受給が問題になった。国の新型コロナウイルス対策で、収入が激減した事業主に配る支援金を、騎手や調教師らが受け取っていた。給付金は単月売り上げが、前年同期比で半減した個人事業主に100万円を配るなどの内容だが、中央競馬はコロナ下でもレースを続け、昨年の馬券売り上げは増収。勝負の世界で、給付金を受け取れる条件となること自体、恥ずかしい話だろう。

 飲食店であれば同期間の売り上げ比較がおおむね状況を反映し、客足の落ち込みや臨時休業に対する支援としては有効だろう。一方で建設業のように通年で変化がなくても、大型工事の受注時期が1カ月間異なるだけで、給付金の要件に合致するケースもある。給付金をめぐっては、全国で不正受給の摘発も相次ぎ、問題は根深い。

 苦境に陥った経営者らに迅速にお金を配る名目は理解するが、制度設計の緩さや甘さは否めないのではないか。もらえるものはもらおうという、さもしい錬金術と化してはいないか、検証が求められる。(金)

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