2月に体育館で寝た。寝床は先ほど教わって組み立てた段ボールベッド。深夜、寝袋から出た顔がひんやりとした。日中の”作業”疲れのせいか、すぐに眠りに落ちた―。
かつての勤務地、千歳で真冬の災害をテーマに避難所に泊まる初の訓練に参加した。同市防災学習交流施設「そなえーる」で東日本大震災から5年と11カ月の2016年冬に寒中の退避行動を疑似体験。同市東部を震源とするマグニチュード7の地震が起きた―とする想定下、訓練は進んだ。暖房が途絶中の避難所の体育館という設定の屋内訓練室では指導教官に促され、生存するための資機材や食料品を搬入後、夜にかゆやシチューなどの非常食を口にした。
室温は7度の前後。参加者が協力して組み立てた段ボール箱9個を並べて1床とするベッドは床の冷気を一定程度防いだ。綿がたくさん詰まった寝袋を持参し、服や下着も重ね着。活動中に着ていたダウンジャケットを掛け布団代わりに熟睡した。気の毒に寒くてあまり眠れなかったと言う参加者はいたが、訓練だけに「不幸中の幸い」ばかりが続いていたと言える。
「『発災初日』の避難所は何も物がないところから始まりますよ」。大震災後の東北救援に携わった元自衛官の教官の言葉が記憶に残った。やがて居宅が未明に波打った胆振東部地震があり、大停電が発生。震源近傍3町の状況に衝撃を受けつつも「伝える仕事」を続けた。備えは、いの一番に大切だ。(谷)









