まずい

まずい

 自分は昭和育ちの道産子。何かを考える時に頭の中を駆け巡る言葉は北海道弁だ。年齢のせいなのか、最近は頭の中だけでなく日常の会話にも方言が無修正で現れる。

 総務省の幹部職員と所管企業幹部の飲食をめぐる醜聞は元総務大臣である野田聖子、高市早苗両氏にも波及している。「国民の疑惑を招くような会食はしていない」との答弁を、ヤジを浴びながら何度も繰り返した現職の武田良太法相は、週刊誌報道で観念したのか会食の事実は認めた。ただし「ビールを数杯飲んだだけ」とのこと。疑惑とは国民が勝手に抱くもののようだ。上司にならって「記憶も記録もない」と国会で答弁を繰り返す部下に、「記憶にないと言え!」と指示をしたとの報道には、きのう「無意識に口に出たんでしょうけど―。指図するつもりはない」と、人ごとのような不思議な答弁を披露した。

 小学館「日本方言辞典」には全国各地の「ずるい」という意味の方言が、一部は用例も含めて100種類以上、採録されている。北海道弁では「なまずるい」。山の子どもは頭に「へ」を付け、強調して使っていたと思う。函館では「ふずらつけない」。青森県はいけざかし、ずれっこ。岩手県はかすけ、かつけ。山形県ではずるこい、おぞい。宮城県はひすらこい―などが並ぶ。語源は不明だが、不誠実を非難する響きを感じる言葉が多い。武田法相の地元福岡県では、ずるい人のことを「まずい人」と言うのだとか。(水)

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