むかわ町が、地域住民のコミュニティーの拠点やアイヌ文化の伝承活動として、宮戸地区に新しく整備してきた「イモッペ生活館」がオープンした。胆振東部地震で被災し、解体した宮戸集会所と老朽化した汐見生活館の機能を集約するほか、地元の新たなアイヌ文化の活動拠点にする。3日には町主催のお披露目会が開かれ、新施設の開設を祝い、関係者に公開した。
オープンした生活館は鵡川大漁地蔵堂の向かいにあり、木造平屋建てで延べ床面積約540平方メートル。和室、研修室がそれぞれ2部屋あるほか、調理室、事務室、多目的室、浴室などを備える。宮戸、汐見両地区の住民の交流拠点として位置付け、各種講座や生活相談、集会など地域の活動にも利用できるようにする。
同町末広の「ム・ペツ館」にあったむかわアイヌ協会の事務所も移設。食器や陶器、衣装などアイヌ民族資料約150点を移して展示し、今後さらに充実させていく考え。設計を含めた総事業費は約2億3500万円で、国の「アイヌ政策推進交付金制度」を活用している。
1日に開館し、3日のお披露目会には同協会やアイヌ文化伝承保存会、イモッペ地蔵尊奉賛会、自治会関係者らが訪れた。竹中喜之町長は「地域のしるべ、町の復興のシンボルとしての利活用、アイヌ文化の限りない振興、発展につながれば」とあいさつした。
むかわアイヌ協会の澤本幸雄会長は「町の協力で良い生活館ができて、非常にありがたく思う」と喜び、「コロナ禍で集まって活動はできていなかったが、これをきっかけにアイヌ関係者が団結していければ」と気持ちを新たにしていた。
アイヌ民族の展示資料の閲覧は無料だが、各部屋の利用は有料で事前予約が必要となる。




















