買い物難民という言葉が使われ始めたのは20年ほど前か。コンビニが増え、配送サービスの増加などで問題は解決したかに見えたが、今また別の高い壁が延び始めた。
大型店の進出によって住宅街や農漁村の小規模店が消え、車を持たない高齢者が日々の食料品の購入にも不便を強いられるのが当初の難民問題だった。
新しい壁は料金精算方式の変化だ。あるスーパーに、現金の収受は機械が行うレジが登場した。よく利用していたスーパーにも現金のほかに、いろいろなカードが使えるレジがお目見えした。カードを持っていない利用者の多くは新方式のレジを避け、従来のレジの方に並んだ。自分もだ。変化はさらに進み、どんな仕組みなのか、商品を投入すれば価格の読み取りを機械が無人でしてくれる方式の衣料品店だってあるという。以前見たテレビではコンビニの無人レジも紹介されていて驚いた。
人手不足や経費削減、新型コロナ対策など理由はいろいろあるのだろうが「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」の気持ちを軽い会釈に込めて交わし合うレジがいいと思うのはわがままか。知人は、数百円の支払いで現金を機械の投入口に入れた時に「エラー」の表示が出て機械が止まり、店員が数人がかりで原因を究明する騒動を体験した。脚を痛め、買い物はしばらく送迎担当。復帰した時に、自分ははたして買い物をできるのだろうか。新しい壁が遠くまで、長く高く見える。(水)









