基準

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 札幌市を対象地域とする「まん延防止等重点措置」の北海道への適用が始まった9日、道内の新型コロナウイルス感染者は初めて500人を超えた。道のコロナ対策は昨年2月、国の動きを待たずに独自に発出した緊急事態宣言から始まった。その後、国の緊急事態宣言を経て、昨年11月からは集中対策、今年4月にはゴールデンウイーク特別対策、そして今回、まん延防止等重点措置の適用を国に求めた。

 緊急事態宣言、集中対策、特別対策、まん延防止等重点措置―。あれこれ名称が変わり、事業者に対する要請も休業だったり、営業時間短縮だったり、その補償に国の支援があるか無いかも異なる。法的に違いがあるのは分かるが、要請される側にとっては強弱の根拠が分からなくなるばかりだ。

 道は、緊急事態宣言を国に要請する基準としてきた感染者数を札幌市が大きく上回っても、なかなか要請に踏み切らなかった。5月5日の東京五輪マラソン競技のテスト大会が終わるのを待っていたのではないかと指摘する声も出た。知事は否定したが、理由が五輪であってもなくても基準を定めておきながら政治的判断で従わないとすれば、それを基準とは呼ばない。今度は国や道がいつ解除するかが、また問題になる。そして東京五輪の存在がこれまで以上に重くのし掛かるだろう。科学的根拠に基づき、対策を求められる側にとっても納得のいく基準がますます必要になる。(吉)

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