勤務していた石狩南部の支局で火葬場の新築事業を取材したことがある。火葬炉を幾つ設けるかを考えるときの深い知恵を教えられた。
年間死者数や人口の増減見通しは検討の最大の基礎だが、加えて近隣市町村を含む、災害に備える「万一への追加」があると聞いた。夕張市に炭鉱があった当時、数十キロ離れたその町でも、ガス爆発事故などの際に犠牲者の火葬を受け入れて遺族を支えた。地震や津波、大洪水などいろいろな災害がある。2018年の胆振東部地震のときには人的被害の大きかった町と苫小牧の間の遺族の送迎に追われたと葬儀業者に教えられた。
そんなことを思い出したのはインドの新型コロナウイルス感染に関する報道を見て。インドでは毎日30万人以上の新規感染が続き、4千人前後が死亡。公園や駐車場に木を積み上げた臨時の火葬場が設けられている。テレビには病院に入ることができず、治療の酸素もなく横たわる患者と、泣き叫ぶ家族の姿が映し出される。あれが医療の崩壊と次の崩壊の実相なのか。
北海道も連日、400~500人の新規感染者を数え、棒グラフの描く山はいよいよ高く鋭い。自治体別の累計感染者数は道都札幌市を頂点に裾野が広がり高度を増す。胆振管内の感染も連日報道されるようになり、日高も増えた。成人式後の飲み会での集団感染など若者の奔放は大都市並み。「安全安心」を繰り返すだけの国会答弁からは知恵も工夫も感じにくい。(水)









