変異

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 わが家にも、新型コロナワクチン接種の案内が届いた。通院している内科に20回ほど、自分で電話をかけ続けて接種の日程が決まった。

 本州では有力者や自治体の首長、職員らによる接種手続きの不正や接種条件の柔軟過ぎる解釈が相次いで報道されている。自分には五月の晴れた青空のごとく何のやましいこともない。それもまた爽快だ。最年長の孫との、声変わり前の再会に自力で一歩だけ近付けた。電話口の担当者に「ありがとうございました」と感謝の気持ちを伝えると疲れているだろうに「いいえェ」。返礼も心地良かった。

 作業を通じて気付かされたことがある。同じ案内を受け取った配偶者たちの情報交換の活発さと速さだ。○医院は電話がつながりにくい。○病院は午前より夕方の方がつながりやすい。○さんはネットで簡単に予約できたそうだ―。そんな市内各地の予約をめぐる最新情報が実名入りで飛び交っているらしい。当然、公的な情報とも照合しながら正確さを確保している。

 それに比べて、高齢男性の世間の何と狭いこと。体だけでなく、情報も情報網も年々硬く凝り固まってくるようだ。過去の話は山ほどあっても、実用性には乏しく、たまに電話で話しても「どうしてる?」の次の言葉が、なかなか見つからない。

 北海道もあすから2度目の緊急事態宣言。全道に外出自粛などの重い網が掛けられる。コロナウイルスのように、柔軟に変異しながら対応したい。(水)

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