感染爆発

感染爆発

 5月の雨が降っている。緊急事態宣言が発令された、一昨日の日曜日。札幌市中心部を歩いた。普段の休日と人出は、あまり変わっていない。自宅マンションのテラスから手が届きそうなオオバボダイジュの緑が、濃くなっている。季節は初夏へ向かっている。

 道内の新型コロナウイルスの最激戦地・札幌では先週、会議や面談、会見が連日のように続き、臨時道議会まで加わり、取材は多忙を極めた。道では13日夜まで特措法に基づく「まん延防止等重点措置」の対象地域の拡大を準備していたが、14日に政府が出した結論は想定外の全道域を対象とする「緊急事態宣言」。「政府方針では感染が抑えられない」という専門家の危機感が結集し、一夜にして異例の修正を迫られたという。

 14日朝に一報が流れて、道庁幹部らから「うそだろう…」とどよめきも起き、一時大混乱。用意していた「重点措置」を白紙に戻し、新たに「緊急宣言」の対策の練り直しへ着手。ようやく宣言発令前日夜に、ぎりぎりで道民に発表するという綱渡り状態に。ドタバタ劇を繰り返す中央政治に振り回される、地方政治の悲哀も透けて見えた。

 変異株にほぼ置き換わり、札幌の新規感染者数は16日まで5日連続300人を超え、「感染爆発」の状態。病床もほぼ満床に近く、医療崩壊も迫っている。知事は会見で「この局面では人と人との接触を、徹底的に抑えることが最大の対策」と訴える。正念場の5月が続く。(広)

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