厚生労働省が昨年11~12月、全国の5000人の親や祖父母など養育者を対象に行った初の実態調査で、33・5%が過去半年以内に「体罰を与えた」と答えたそうだ。
小学校で何度か体罰を経験した。黒板の前に男子全員が一列に並び、端から順に平手打ちをされたことがある。理由はもう覚えていないが、バチンバチンと音が近付いてくる恐怖感、体罰を受けた後の屈辱感は忘れない。中学生になり、別の小学校の出身者に話すと驚かれた。
今は家庭でのしつけ名目の虐待が増え、中には命まで奪う例もある。調査によると「体罰は場合によっては必要」と考える容認派の養育者が41・7%もいたそうだ。しつけとして行った具体的な行為には、尻や手の甲をたたくこと、駄目な子だと否定的な言葉を言って心理的に追い詰める―なども含まれる。
長男は小学生の時「親に殴られたことのない人は?」と先生に問われて手を挙げた。圧倒的少数だったという。わが家の子育てが家族の酒席の笑い話になったことがある。自分は「ミニカーが欲しい」とぐずった幼稚園児を、店頭で何分も説得したそうだ。引きずって屈辱を経験させたくなかったのだ。口ではかなわないという絶望感を与えたことには気付かなかった。
国は昨年、体罰を禁止する児童福祉法の改正法を施行した。調査では保護者への浸透不足が明らかになった。体罰を無くするのは保護者一人一人。法律や行政だけの責任ではない。(水)









