模索

模索

 新型コロナウイルス感染症の拡大が続いている。道内の死者は23日現在、累計で1001人。ついに1000人の大台に乗った。同じ出来事で死者数を毎日報道する、かつてない事態。16日に発令された緊急事態宣言を待つまでもなく、コロナによる死が異例の事態を告げ続けている。

 一方でその事態を、読者に伝え切れているだろうか。個人的にはじくじたる思いもある。昨年から取材を続けているが、苫小牧市内は過去の宣言下と比べ、外出自粛や飲食店の時短営業などによる人流抑制の効果は薄いと感じている。政治や行政に言いたいことは山ほどあるが、報道の立場としても使命感をさらに高めて臨みたい。

 ただ、コロナに関しては感染拡大当初から、とりわけインターネット上に、感染者への誹謗(ひぼう)中傷やデマが飛び交い、情報の公表や発信の在り方が難しい課題がある。誰でも感染する可能性がある病気にもかかわらず、感染者を特定したり、感染者の行動などを差別的に批判したりする書き込みなどはなくならず、結果として情報の発信がためらわれる負のスパイラルが続く。

 当紙も感染者やクラスターの発生現場を取材し、「生の声」として紙面に載せたこともあるが、やはり書けないことも多かった。どうすれば自分の命を守る自助が浸透するのか、取材対象者に寄り添いながら読者の共感を得られる記事を書くため、模索を続けたい。(金)

関連記事

最新記事

ランキング

一覧を見る

紙面ビューワー

紙面ビューワー画面

レッドイーグルス

一覧を見る