新聞の各面の構成内容を話し合う会議を毎日、編集局とは別の階にあるホールで開いている。新型コロナウイルスが出現する前は局内の隅の机に集まっていた。ホールまで行き、間隔を空けて座る形式はもう１年以上続いている。そのホールにあるホワイトボードに、かわいらしい落書きを見つけた。まあるいペンギンのイラストに「はたらいてえらい！」と言葉が添えてある。４月に入社したばかりの新人２人で書いたという。「コウペンちゃん、知りませんか？」。知らない。「コウテイペンギンのキャラクターで、何でも肯定してくれるんですよ」

　イラストレーターるるてあさんが創作したキャラクターで、４年も前から大人気らしい。ネット上には「ばかにされている気がする」「嫌い」との声もあるし、そこまで褒められることに飢えている人が多いのかと複雑な気持ちにもなる。だが、描かれたコウペンちゃんはとても愛くるしく、自然と頬が緩む。その存在すら知らなかった中高年に、もう少し若者を褒めようか、という気を起こさせる。

　緊急事態宣言の期間延長は必至だ。「発令が遅すぎた」との批判も多いが、未知のウイルスを相手に最適なタイミングと強さで対策を打てる人がどれだけいるだろう。政府や自治体が取る措置のすべてを肯定はできないが、後から批判だけしていても収束するわけではない。日に何度も繰り返す手洗いにもう一度、念を入れる。（吉）