縄文

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 千歳市中央地区のキウス周堤墓群を含む北海道・北東北の縄文遺跡群が7月にも、ユネスコ(国連教育科学文化機関)から世界文化遺産に登録される見通しとなった。

 登録されるのは周堤墓群と伊達市の北黄金貝塚など道央道南の6遺跡、三内丸山遺跡など青森、秋田、岩手3県の11遺跡、計17の遺跡群。縄文時代に世界の注目が集まることになる。

 周堤墓はドーナツ状に土を盛った円い墓域に複数の墓をつくった集合墓地。確認までの経過は、1983年発行の増補千歳市史に詳しい。大正時代にはキウスのチャシ(城跡)とされていたがその後、墓との見方が強まり、64~65年に市教委も調査を行い、遺物から縄文晩期の遺跡と確認。68年に道の文化財指定を受け、79年には国の指定史跡として告示されたという。

 縄文時代最大級の土木工事跡とも言われる。2号周堤墓の大きさは外径75メートル、内径34メートル、土手の高さ5・5メートル。築造には3千立方メートル前後の土の移動が必要で、25人がかりで延べ123・2日を要すると計算された。

 90年代に周堤墓群の近くで行われた、道東自動車道工事前段の埋蔵文化財発掘調査の取材を担当し、馬追丘陵の麓に何度も通った。晴れた日、周堤墓付近から見る夕焼けがきれいだったことを思い出す。樽前山や風不死岳、恵庭岳の形が黒い影となって、赤く染まっていく空の下部を切り取る。巨大な墓を築いて死者を送った、3千年以上前の縄文人も見た夕焼けだ。(水)

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