コロナ下の五輪

コロナ下の五輪

 きょうは、国が9都道府県に発令した緊急事態宣言の最終日になるはずだった。だが、新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、期限は6月20日まで延びた。

 東京五輪の開会式までは、あと53日。このコロナ下でも開催されれば、選手たちは夢を実現でき、宿泊、航空、飲食店業界などは経済効果を得て息を吹き返せる。一方、医療現場は切迫して従事者たちは疲弊し、感染者や他の病の患者は手厚い対応を望めなくなる。もしそのことで五輪選手が非難されれば、大会の主役が心を傷める。

 善しあし両面ある中で、国際オリンピック委員会はやる気満々。それはいいとしても「実現するために、誰もがいくらかの犠牲を払わなければいけない」という声明には疑問を持つ。五輪のために犠牲にされてもいい生活の糧や人の命はなく、「スポーツでの人間育成と世界平和」という目的に沿った考え方とは思えないからだ。

 過日の「なんでもトーク」欄に「五輪は(開催して)よくて、何で運動会は駄目なの?」と子どもが言ったという話があった。お金もしがらみもない子どもたちは、時に問題の核心を突く。今大会に向けて、五輪の在り方を問われる出来事がたびたび浮上したのは、コロナ下での開催を機に本旨からずれた点を見直すようにという、見えない力が働いてなのかもしれない。これまでの経緯で五輪を夢見る子どもらがいなくならないことを願っている。(林)

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