幕末に蝦夷地(北海道)を調査した探検家・松浦武四郎(1818~88年)の像が、生誕地・三重県松阪市の市民から白老町に贈られ、仙台藩白老元陣屋資料館に設置された。アイヌ民族に支えられながら各地を踏査した武四郎は、白老にも足跡を残している。元陣屋資料館は「今は新型コロナ対策で臨時休館中だが、再開した際には多くの人に見てほしい」としている。
寄贈したのは、武四郎の功績をPRしている松阪市の市民団体代表の前川幸敏さん(74)。同市の松浦武四郎記念館と白老町の旧アイヌ民族博物館の姉妹博物館締結(2014年)に尽力し、その後も白老と交流を続けている。
FRP(繊維強化プラスチック)の台座に乗せた像は、ウレタン製で高さ180センチ、重さ約50キロ。刀を腰に差し、方位磁石を手にした姿をかたどり、ブロンズ色に塗装した作品で、5月に白老町に届いた。
前川さんは、白老町での東京五輪聖火リレーを盛り上げたいと、武四郎像の寄贈を思い付き、自費で制作したという。13日に予定されていたリレーは新型コロナウイルスの感染拡大で中止になったが、町は、寄せられた像を元陣屋資料館に展示することにした。
北海道の名付け親としても知られる武四郎は、蝦夷地調査の日誌でアイヌ民族の風習や暮らしを詳しく紹介した。白老にも足を運び、幕末に仙台藩が築いた北方警備拠点・白老元陣屋の様子などを「東蝦夷日誌」に記した。
民族共生を願った武四郎の像は、地元アイヌ民族との関係を重視したとされる白老元陣屋の跡地に収まった。共生社会の大切さを訴える像を展示した資料館の武永真館長は「寄贈に感謝したい」と話している。

















