不幸

不幸

 きのうの未明、山道でヒグマに遭った夢を見た。巨大な黒い塊がゆっくりと動き出した。自分の大声が家中に響きわたって目が覚めた。

 単なる偶然なのだが、起床すると道都・札幌市のヒグマ騒動のテレビやラジオの報道が始まっていた。ごみ出しの高齢者らが襲われ、けが人がだんだん増えていく。結局、ヒグマ1頭が射殺されて、8時間ほどの大騒動は終わった。札幌のヒグマといえば市街地の南部が中心。草刈りや放置されたリンゴなどの果樹の伐採が成果を見せつつあると思っていたのに、今度は北東部。どこから来たのだろう。地図を広げるが分からない。

 札幌だけでなく胆振だってヒグマの出没が多い。苫小牧から支笏湖へ向かう国道276号では霊園に近い一帯を中心に、連日のようにヒグマの横断が目撃されている。安平町では、すでに昨年の4倍、20件以上の目撃情報が寄せられているという。苫小牧では、エゾシカやキタキツネ、アライグマの目撃も増えているようだ。ひょっとしてヒグマだって市街地に出入りしているのでは―。札幌市民の、ヒグマ出没に驚く表情を見ながら思った。「人ごとではない」

 行楽や釣りでの山野への残飯投げ捨て、墓地への供え物の放置、可食部の多い生ごみのごみステーションへの投棄―。人の油断が野生動物を餌付けすることになり、味を覚えた野生動物が駆除される不幸。互いの安全な距離を考え、まずは人がそれを覚えて実践しなければ。(水)

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