紙巻きたばこから加熱式たばこに替えて3年になる。充電の手間にも慣れた。悪い習慣を続けるためなら、工夫する根気はあるようだ。
何度か禁煙に挑み、数年間成功したこともある。しかし、復煙はまったく簡単で、自分の意志の弱さにあきれた。いつまでも室内に残る煙や臭い、周囲の健康被害への批判の高まりが悩みだった。若い知人の薦めで加熱式を購入してみた。加熱による蒸気は煙に比べて確かに薄い。カーテンの煙臭さや壁の黄ばみの進行も、あまり気にならなくなった。灰皿が不要で敷物や衣服の焼け焦げの心配もない。
先日の新聞によると、紙巻きたばこの販売本数が2020年に、記録の残る1990年以降初めて1千億本を割り込み988億本になったそうだ。前年比16・3%の減。最も多かった96年に比べ7割以上も減った計算だ。健康意識の高まりによる喫煙率の低下、若年層を中心にした加熱式たばこ派の増加や新型コロナ感染拡大で家庭で吸う機会が増えたことも減少につながったらしい。加熱式のカートリッジを紙巻きの20本に換算すると、20年の販売本数は413億本。紙巻きの4割にもなる。
手元の加熱式たばこの箱を改めて見た。「蒸気(煙)は、発がん性物質や依存性のあるニコチンが含まれるなど、あなたの健康への悪影響が否定できません」の文字。別のメーカーの新聞広告には「燃焼で発生していた有害成分が低減」との説明。安心・安全にはまだ遠い。(水)









