道が公表した道内太平洋沿岸地域の新たな津波浸水想定を受け、白老町は今年度、津波対策の見直しを進める。新想定では、沿岸の最大津波高が従来想定を上回る9メートル超となり、浸水範囲も拡大する可能性が示された。町は防災に向けて津波ハザードマップ(被害予測図)を年度内に改訂するほか、緊急一時避難所や避難計画の再考にも着手する。
津波浸水想定は、三陸・日高沖の日本海溝と道東沖の千島海溝沿いでマグニチュード9クラスの巨大地震が発生した際、太平洋沿岸地域の津波高や浸水域などを示したもので、道が24日に公表した。想定を取りまとめたのは、2012年の津波浸水予測図以来。道は今後、10メートル四方範囲の浸水の深さなど、沿岸自治体へさらに詳しい想定を示し防災対策を促す。
新想定では、日本海溝地震による白老町の最大津波高を8・3~9・2メートルとし、最大8・8メートルとした12年想定を上回る最大9メートル超を予測。最大津波が到達する時間は38~42分とし、平均45分程度とした前回想定より早く陸地へ押し寄せる可能性を示した。
また、浸水範囲も拡大。面積は3026ヘクタールと試算し、町内のほぼ全域が水に浸かると想定。浸水の深さは全体的に前回想定より1メートルほど高くなり、西部の一部地域では3・9~6・4メートルと前回比1・5倍の深さになる恐れがあるとした。
これを受けて町は今年度、津波対策の再検討に乗り出す方針。13年に作ったハザードマップを見直し、新しいマップを年度内に作成して全戸に配布する。また、民間施設を活用した津波の緊急一時避難所51カ所についても、浸水深の想定に基づいて再考。今のところ12カ所に関して被災者収容人数の見直しを進め、新たな避難所確保も検討する。経路や場所、逃げ方のルールなどを盛り込んだ13年8月策定の津波避難地域計画や、防災備蓄計画の見直しも図るなど対策に急ぐ。
町の防災担当者は「より詳しい浸水予測が7月にも示されることから、町内会や避難所協定を結ぶ施設との協議も踏まえ、津波対策の計画改定などに取り組みたい」と言う。
一方、新たな浸水予測は、町立国保病院の改築に影響を与える可能性がある。町は、津波対策で2メートルほどかさ上げした地盤に新病院を建てる考えでいるが、状況によっては盛り土の高さの変更などを余儀なくされる。町の担当者は「詳細な浸水予測に基づいて現行の改築計画を精査したい」としている。

















