第71回北海道高校柔道大会兼第70回全国高校柔道大会北海道予選会最終日は25日、苫小牧市総合体育館で体重別7部門の男子個人戦トーナメント決勝が行われた。73キロ級で恵庭南の山本禅(3年)=苫小牧青翔中卒=が優勝。100キロ級では北海道栄の牛坂大悟(3年)が3位入賞を果たした。
【男子】
60キロ級
▽決勝
上村洸太(札幌山の手)=背負い投げ=藤田祐人(同)
▽準決勝
藤田=背負い投げ=浅井恵河(北海)、上村=小外刈り=宮原章人(北海)
66キロ級
▽決勝
堀川翔(北海)=支釣込足=橋本虎弥(東海大札幌)
▽準決勝
橋本=指導1=鷲見正義(札幌山の手)、堀川=腕挫腕固=黒瀬稜太(北海)
73キロ級
▽決勝
山本禅(恵庭南)=背負い投げ=佐藤雅典(東海大札幌)
▽準決勝
佐藤=指導1=鳩間賢信(札幌山の手)、山本=小内巻込=工藤琉希(札幌光星)
81キロ級
▽決勝
河田陸久斗(北海)=肩車=永岡歩(東海大札幌)
▽準決勝
永岡=上四方固=木村和暉(旭川龍谷)、河田=肩車=齊藤琉生(東海大札幌)
90キロ級
▽決勝
今西勇斗(帯広農業)=合わせ技=岡本翔太(北海)
▽準決勝
岡本=払い腰=廣田龍輝(東海大札幌)、今西=合わせ技=高橋龍麗(旭川龍谷)
100キロ級
▽決勝
川島渓太(東海大札幌)=けさ固=吉田龍真(北海)
▽準決勝
吉田=けさ固=鈴木康世(札幌山の手)、川島=けさ固=牛坂大悟(北海道栄)
100キロ超級
▽決勝
神山侑季(東海大札幌)=反則勝ち=水野康太郎(同)
▽準決勝
水野=背負い投げ=中井計人(旭川龍谷)、神山=払い腰=五十嵐大陸(東海大札幌)
―山本、不振脱し歓喜のV
試合開始わずか30秒の出来事だった。「チャンスがあれば一発で仕留める」。73キロ級決勝に臨んだ山本は、積極的に攻撃を仕掛けてくる佐藤(東海大札幌2年)の隙を冷静にうかがっていた。足技で揺さぶり相手の体を浮かせると、すかさず懐に飛び込んだ。「自分の形だ」。見事な背負い投げが決まると、雄たけびを上げて喜びを爆発させた。
出口の見えない、暗いトンネルの中にいた。今年1月の道大会を制し、3月には自身初の全国大会にも挑戦した。ただ、そこで「燃え尽きてしまった」。日々の練習にも熱が入らず4月の札幌春季大会、続く5月の支部予選では共に準々決勝敗退に終わった。
「危惧していたことが現実になった」。指導する酒井監督は振り返る。「真面目で誠実ないい男」と表現する教え子の心に再び火をともそうと、厳しい言葉を掛け続けた。
「73キロ級では頭一つ抜けてる存在なんだぞ」。恩師の言葉に山本はついに奮い立った。大会に向け苦手な左利き選手への対策を徹底し、歴代の先輩たちから教わってきた背負い投げにもより磨きを掛けた。
くしくも決勝の相手は左利きだった。「練習通りに相手の懐に割って入って、ぶん投げてこい」と試合直前に酒井監督からエールを送られた通りの快勝劇。山本は「見捨てずに声を掛け続けてくれた先生の期待に、やっと応えることができた」と胸を張った。
次なる目標は高校総体の頂き。全国クラスの力量はすでに経験している。「互角以上にやれる自信はある。優勝して、もう一度先生に恩返しがしたい」
―牛坂、けが乗り越え入賞
100キロ級に挑んだ道栄の牛坂主将が、右膝のけがを物ともせず快進撃を見せた。初戦の2回戦を難なく一本勝ちすると、続く3回戦では試合時間残り20秒に払い巻き込みで技ありを奪い勝利。「いい流れで試合ができていた」と言う。
同級を制した川島(東海大札幌)との準決勝では、相手の足払いが右膝付近に入り、思うように踏ん張りが効かず敗退。それでも胆振支部勢最高の成績を収め、「うれしかった」とすがすがしい表情を見せた。
むかわ町出身。2019年の高校総体男子90キロ級5位、国民体育大会出場など輝かしい実績を挙げ、現在は桐蔭横浜大(神奈川県)で活躍する先輩大谷大斗(2年)らに憧れて道栄に進学した。
昨年度は新型コロナウイルスの影響で高校総体など各種大会が相次ぎ中止に。「いつ試合があるのか分からず、モチベーションを保つのが難しかった」。今年1月にようやく道大会に出場したが、直後の練習で右膝を大けがし、再び苦悩する日々を送った。
対人の立ち稽古は大会2日前にようやくできたほど。不安はあったが「出たからには勝ちたい」と一戦必勝で臨んだ結果が、3位入賞に結び付いた。
自身ら3人の最上級生が抜けた新チームはわずか5人になる。「諦めずに向かっていく柔道をしてほしい」とエールを送った。
―8強入り松尾『伸び盛り』
帯広農業の松尾優作(2年)=青翔中卒=は、73キロを制した山本と同じ苫小牧の柔道クラブ、尚志館當摩道場で腕を磨いてきた一人だ。自身は81キロ級で8強入り。「来年は優勝して全国に行きたい」と夢見る。
小学生の時から何度も胸を借りてきた頼もしい先輩の勇姿を、しっかりと目に焼き付けた。「本当にすごい。地道に努力していたことを知っているので、自分もうれしかった」と言う。
2009~16年に苫小牧東高で体育教員を務め、同校柔道部の顧問も担っていた帯農の田中友和監督に声を掛けられ、北北海道の強豪に進学した松尾。23日の男子団体戦では次鋒を担い、予選から4試合連続で一本勝ちするなど3位入賞に大きく貢献した。
「素直で頑張り屋。新チームの中心は優作になるのは間違いない」と田中監督が期待を寄せる伸び盛り。来年の道高校大会は帯広市開催。第二のふるさとで目標達成なるか。






















