文化芸術を観光のまちづくりに生かす。そうした試みが白老町で今夏から動きだす。文化庁の「日本博」事業の予算を活用し、地元の実行委員会が町内で文化芸術プロジェクトを展開するという。
「日本博」は日本の美や文化を世界にアピールし、コロナ後の訪日旅行需要の回復につなげる国の戦略的事業でもある。予算を獲得した文化団体が今年度、伝統芸能の舞台公演、国宝美術の展覧会といった多彩な事業を開催する。白老では、アーティストが多様な地域資源への感銘や住民との触れ合いで生み出した作品の展示会、土地の魅力を国内外に発信するインターネットラジオ番組の制作を企画し8月以降、本格的に繰り広げる。
主催の実行委は町長を名誉会長に町議会、アイヌ協会、商工会、観光協会、町内会連合会など地元主要団体の代表を務める人たちが名を連ねる。文字通り、まちぐるみの体制でプロジェクトに臨む構えだ。「日本博」事業は来年度以降も続くため、関係者は予算を確保しながら文化芸術と観光を組み合わせた町内周遊アートツーリズムの基盤をつくりたい―と鼻息荒い。
文化芸術をキーワードに各方面の人々がタッグを組んだ背景には、人口減が急速に進む郷土の未来への危機感がある。手をこまねいているのではなく力を合わせ、まちの元気と誇りを創出しようという動きだ。地域で受け継がれた文化、人の営みをアートで表現し、集客を図る。白老の挑戦を応援したい。(下)









