むかわ町松風の静光寺はこのほど、境内に詩人・宮沢賢治が設計した西洋花壇「涙ぐむ眼」を整備した。マリーゴールドやベゴニア、アリッサム、ゴールドクレストなど色鮮やかな花が大きな「瞳」を描いており、参拝に訪れる町民の心に癒やしを届けている。
花壇は幅4・2メートル、奥行き2・4メートルで今月中旬に完成。水谷寛斎住職(62)が仕事の合間を利用しながら、部屋の資料を整理していた際に見つけた設計図を基に2カ月ほどかけて約200株の花を植えた。花はホームセンターで調達し、砂利やブロックの一部は友人から譲ってもらったという。
同寺は2018年9月の胆振東部地震で建物こそ崩れなかったが、基礎のずれや天井が抜け落ちるなどの被害を受けた。このほか本堂は仏具が散乱し、納骨堂は倒壊。建物内の完全復旧まで2年以上を要した。
このため、手つかずだった境内の整備は今年の春から本格的に始め、花壇は「参拝に来た方が見てホッとするようなものをと思って造った」。他にも、あちこちに散乱した石やアスファルトの破片をかき集めて石文字やキャラクターを描くなど、趣向を凝らして参拝者の目を楽しませている。
水谷住職は「何か一つのものを完成させると、『次は何をやろうか』と考え、手広くなってしまった」と苦笑いを浮かべながら、「地震で荒れた境内を知っている近所の方が『お寺がきれいになった』と言ってくれる。参拝に来る方の心を癒やす意味で、空いている時間を利用してさらに整備していきたい」と話す。

















