泥棒を捕らえてみれば―。政治家や官僚の行いに落胆させられることが多い。最近では買収で有罪判決を受けた元法務大臣や公的資金詐欺で逮捕されたキャリア官僚。
政治家は、特に高まいな志を持たない、私利私欲と階層上昇欲だけで生きているような人でも、経歴や地縁血縁を選挙の勝利に結び付ける知恵と演技力があればなれるかもしれない。失礼ながら、そのようにしか見えない政治家は、確かにいる。
国家公務員試験の総合職に合格した中央省庁の幹部候補がいわゆるキャリア官僚。人事院の先頃の発表では2021年度の合格者は1834人。倍率は前身の「I種試験」時代も含めて1960年度以降最低の7・8倍だった。78年度には42・7倍を記録したこともあるが長時間勤務や深夜残業が敬遠され、近年は低下傾向らしい。出身大学は70・1%が国立、私立25・6%。学校別の合格者順位は1位が東大、以下京大、北大、岡山大、早稲田大の名前が並ぶ。
経済産業省の28歳の男性キャリア官僚2人が先日、詐欺罪で警視庁に逮捕された。新型コロナウイルス禍で売り上げの減った中小企業への国の「家賃支援給付金」約550万円をだまし取った疑い。給付を早めるための手続きの簡素化などの弱点を利用して、職場で詐取の相談をしていたと報道されている。
文書改ざんの財務省、接待漬けの総務省、そして詐欺の経産省。キャリアたちが学び忘れてきたものの大きさを思う。(水)









