感染症の拡大で、医療従事者が多忙を極めている。負担を減らすために私たちにできることは、感染予防や健康管理に努め、病院にかからないようにすること。

　受診をする場合は、スマホなどのビデオ通話を使って「オンライン診療」にすると、感染リスクが減り、医療従事者はもちろん、自分自身のためにもなる。ただ、この診療はまだ日本であまり広がっていない。受診の条件が厳しいし、医師は「診療に必要な情報が対面診療ほど得られない」と慎重な姿勢を示しているからだ。診療報酬（医療費）が対面診療より低いこともネックになっている。

　壁は多いが、日々進む社会の高齢化を思えば、コロナ禍でなくても暮らしに根付かせたい。厳しい受診の条件は、昨春「感染症が収束するまでの特例」が作られ、やや緩和された。これから、特例で許可された初診が恒久化（条件付き）されるなどさらに緩和され、診療報酬の見直しも検討されるよう。　

　この診療を広げようという流れにあり、それなら１人暮らしの高齢者のように、受診に至るまでの端末操作で挫折しやすい人の支援も考えてほしい。簡単な操作で病院や薬局とつながり、相手の顔を画面で見ながら意思疎通ができる端末を必要世帯に整備したり、操作方法をサポートしてくれる人を地域に育てて機能させたり。そうすればこの診療は、コロナ禍だけでなく超高齢化社会も支える医療インフラとなるはずだ。（林）