厚真町森林再生・林業復興に係るシンポジウムが3日、町総合福祉センターで開かれた。胆振東部地震から約2年10カ月が経過し、これまで行ってきた植栽試験や調査の結果報告、今後の対応について各担当から説明があった。
町と苫小牧広域森林組合は、早急に手当てが必要な箇所について、治山工事の実施や計画を進めていることを報告。今後は、▽森林所有者の意向を踏まえながら、将来的に木材生産林として期待できる場所への森林造成を優先的に行う▽植樹会や自然回復の過程を観察する会などを開催し、森林と住民との関係性の再構築を図る―などの対応を取るとした。
北海道大学の中村太士教授は「大きな災害があってもゼロになるのではなく、必ず生きている動植物がいて、元に戻ろうとしている。人間は早く緑に戻そうとするが、自然の力で徐々に戻っていく」と言及。「自然の回復力、レガシーを生かした森林再生を考えていければ」と話した。
道水産林務部は、崩壊斜面で行っている植林の実証実験の中間結果で、カラマツとケヤマハンノキが現状で良好に成長していることを報告。条件として土が軟らかく、透水性が高い箇所が良いとの見方を示した。一方で、林業試験場の調査では被災箇所について「土壌条件が悪く、再生に時間がかかる」との見解もあった。
このほか、寒地土木研究所水環境保全チームは震災後の調査で胆振東部地震の崩壊地カ所数は7093カ所あり、面積にして44平方キロあることを示した。また震災以降、山肌があらわになった崩壊地に雨で溝ができ、川へ流れていくため、「少しの雨で川の濁水が発生している」との指摘があった。

















