「北海道と北東北の縄文遺跡群」の国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産への登録が今月末の世界遺産委員会で正式に決まる。
登録の対象となる函館市の大船遺跡、千歳市のキウス周堤墓群、青森市の三内丸山遺跡など17の遺跡が北海道新聞で紹介された。祭祀や住居、食など遺跡の概要を学ぶことができた。
伊達市の北黄金貝塚は国道37号沿いに大きな看板があり、国道からでもなだらかな丘陵の広がる遺跡の一部が見られる。復元された竪穴住居に入ってみようとして入り口の梁(はり)に息が詰まるほど頭をぶつけ、自分は縄文人より背は高いかもしれないが、注意力は散漫であることを痛みとともに学んだ。
函館市と合併する前の南茅部町当時の大船遺跡も発掘当時に訪ねた。今回の登録対象ではないが町内で発見され、国宝に指定された中空土偶、通称「カックウ」は、10年ほど前、函館博物館の公開展示を報道で知って見学に出掛けた。ぷりんとした唇をとがらせ、少し首をかしげた表情がかわいらしかった。
講談社現代新書「土葬の村」で著者の高橋繁行さんが、関西の山あいなどに残る土葬の風習を取材、記録している。数千年前の縄文文化と現代につながる部分の多いことに驚く。行政が集団墓地や火葬施設を用意し、急速に簡素化や合理化の進む葬送。登録は、そのありようを冷静に考える機会になるかもしれない。登録を単なる縄文ブームに終わらせてはならない。(水)









