追分高放送局制作のドキュメンタリー動画 震災からの復興追う 「あびらチャンネル」で放映 全道高校放送発表大会にも出場

追分高放送局制作のドキュメンタリー動画 震災からの復興追う 「あびらチャンネル」で放映 全道高校放送発表大会にも出場
エントランスを題材にした動画を制作した河野さん(右)と井上さん

 全道高校放送発表大会(6月、北見市)に出場した安平町の追分高校放送局が制作したドキュメンタリー動画が、町のエリア放送「あびらチャンネル」で放映されている。胆振東部地震をきっかけに立ち上がった復興を支援する団体が、追分地区に開設したコミュニティースペース「ENTRANCE(エントランス)」を取り上げた内容。テレビチャンネルを持つ町が高校生の作品を起用したのは初めてで、全国でも極めて珍しい。同局の生徒たちは「素直にうれしい。まちのことや追分高校という学校のことを知ってもらえたら」と話している。

 動画を制作したのは、前局長で3年生の河野颯希さん(17)と2年生の井上心さん(16)。それぞれが昨年から何度もエントランスに足を運び、見聞きした情報や集めた写真を基にしながら、地震で被災した地域が立ち上がっていく様子も交え、約7分50秒の動画にまとめた。

 「エントランスは夢やチャレンジを応援している施設。安平町は震災で苦労したけれど、今元気に頑張っているよ―という思いを伝えたかった」と発案者の河野さん。井上さんは「町民が元気を失った中で、復興ボランティアセンターが立ち上がり、エントランスをオープンさせた。(映像の中で)地域と高校生を関連付けたかった」と思いを語る。

 作品は5月の苫小牧地区大会においてテレビドキュメント部門で2位に入った。全道大会での入賞とはならなかったが、地域をPRする素材として評価を受け、今月からあびらチャンネルや町の動画投稿サイト「ユーチューブ」で紹介されている。顧問の今井憲一教諭(60)は「これまでのほとんどの作品は生徒を誘導しながら作っていたが、今回は自分たちの発案で作っていた。かなり前進したものになっている」と評価する。

 町によると、高校生が制作した映像を同チャンネルで使用するのは初めて。広報を担当する総務課情報グループの小林誠主査(30)は「町民や町に関わる人がインタビュアーとしてできる企画を模索していた。子どもの目線で感じるものとして捉えていて、面白いと思う」と目を見張る。震災復興を掲げる町においても「未来を語る上で子どもは欠かせない。追分高の子どもたちが主体性を持って取り組んでいることを多くの人に知ってもらいたいし、子どもたちにものを作る面白さや見ている人に伝わるうれしさにつながってくれたら」と話した。

 3年生はこれで部活動引退となるが、河野さんは「町内の高校だからこそできることがあるという自信になった。また新たな挑戦をしてほしい」と後輩による進展を期待。井上さんも「自分で問題や課題、答えを見つけて発信していきたい」とさらに意欲を沸き立たせている。

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