聞かれた質問にはきちんと答える。家庭や学校で特別に教えられた記憶はないが、それが当たり前のことだと認識している。
でも、政治の世界はどうやら違うらしい。特に最近の宰相はそういう認識は持っていないようだ。
菅義偉首相に質問が飛ぶ。「五輪開催の意義は」。答えは「安全、安心の五輪を目指す」。6月の国会で行われた党首討論や、その後の記者会見でも繰り返された光景だ。
ほかにも菅首相は質問に正面から答えず、はぐらかすケースが目立ち、聞いている方はストレスがたまる。
こうしたことを法政大学教授の上西充子氏が「ご飯論法」と名付けている。
「あさご飯を食べましたか」と質問すると、パンは食べたけど、米のご飯は食べていないので「ご飯は食べていない」と答える。質問に答えているようで、実は答えないということを表現したものだ。
上西氏はご飯論法を安倍政権下の安倍晋三前首相のやりとりで名付けている。菅首相は安倍政権の継承とされるだけに、答弁の方法まで引き継いだのかと皮肉も言いたくなる。
明確に答えづらい質問や検討中の内容もあるが、少なくとも地方議会でこの論法はほとんど聞かない。まして日常生活で使おうものなら総スカンを食う。
国レベルの政治が異常なのか。宰相なのに議論が好きではないと勘繰りたくなる。(昭)









