20年以上前に生産されたお気に入りの愛車を手放した。乗り続けるのに動力系のユニット交換が必要で、メーカーの品はとうに世にないため本州を含めてスクラップのリビルト品を探してもらったが、売価と輸送費を聞いて諦めた。
想定外で買うことになった車には隔世の感だ。安全や運転支援の機能が満載で、多くのボタン、スイッチに面食らった。走行中はアラームがよく鳴り、車線に寄るとハンドルが勝手に動いて走行位置が戻る。2度続くと、ハンドルを保持せよとの指示がモニターに出る。人や障害物に寄ると警報が鳴り、さらに接近すると衝突回避でブレーキが即座に作動する。使うことは望まないが、救急車などが必要な場合のSOSコール機能も付属していた。うっかり施錠をし忘れた先日は、すぐにスマホに操作忘れのメールが届いた。
進化する安全、安心の機能・システム。個人的には運転の楽しみがないのは嫌だけれど、あおり運転や暴走などの危険行為、ペダルの踏み間違いによる事故が道路上から消えるなら、自動運転の未来も受け入れたい。
車の安全機能には感服するばかりだが、転じて嘆く「安全、安心」は首相らの言葉。遅れていたワクチン接種が加速されて光明を感じていたら、ワクチンの確保量と供給量にずれが出て職域接種、集団接種も一部で急ブレーキ。不安や不満もまん延する中で、緊急事態宣言下の五輪が始まる。この政権には施政の「支援機能」が要る。(司)









