格差

格差

 新千歳空港国際線ターミナルビルで千歳市が10日、新型コロナウイルスワクチンの大規模接種会場を期日限定で開設した。闊歩(かっぽ)していた訪日外国人旅行客らの姿が消えてから1年以上。接種券を手にした市民が距離を空けながら列をなした。「空のまち」千歳ならではの光景だった。

 広く充実した施設が閑散とし続ける逆境を利用し、接種を加速化させている。国際線に足を運んだことがない市民も多い中、空港に少しでも愛着を持ってもらう狙いもある。北海道エアポートも接種者に空港で使える500円商品券を配布。きっと買い物をした人の多くは足が出たと思う。空港のにぎわいも創出し、注目度も満点だ。

 苫小牧市も特色ある取り組みを展開している。12日には市保健センターで職域接種がスタート。市内は中小、零細企業が多数を占める中、市と市医師会が共同出資する一般財団法人ハスカッププラザが希望者を取りまとめ、接種に必要な1000人以上を確保する仕組み。当方もこの枠組みで接種が前倒しできる予定。感謝している。

 一方でワクチンをめぐる格差や混乱も実感する。国の事業にもかかわらず、人材や資金に勝る自治体や企業から優先され、小さな町村や企業ほど後回しになる構図。接種のスピードや経済を優先する傍ら、工夫やアイデアでは補えない差が生まれ、ここへきてワクチンの安定供給すら担保されない事態。記憶と記録にとどめたい。(金)

関連記事

最新記事

ランキング

一覧を見る

紙面ビューワー

紙面ビューワー画面

レッドイーグルス

一覧を見る