道内の博物館職員らが集う第59回北海道博物館大会が15、16両日、白老町で開かれた。地域のアイヌ文化振興に向けた博物館の役割や取り組みについて関係者が事例報告し、文化を発信する上での課題も考えた。同大会が白老町で開催されたのは1985年以来36年ぶり。
北海道博物館協会など主催の大会は、博物館を取り巻く今日的課題や諸問題について考え、生涯学習拠点としての活動を推進するため毎年、各地で開催している。アイヌ施策推進法の制定や民族共生象徴空間(ウポポイ)の開設など、アイヌ施策の新たなステージを迎えた社会的状況を踏まえ、今回は「博物館とアイヌ文化―多文化共生の新展開」をテーマに設定。道内各地の博物館や郷土資料館などの職員ら約100人が参加した。
町コミュニティセンターを会場にした基調講演ではウポポイの村木美幸副本部長が「ウポポイの役割―多文化共生と地域連携」、国立アイヌ民族博物館の佐々木史郎館長が「国立アイヌ民族博物館の地域連携の試み」と題して基調講演。先住民族アイヌの歴史と文化を正しく発信するための取り組みや課題、国内各地の博物館とのネットワーク構築などについて説明した。
事例報告では、よいち水産博物館(後志管内余市町)の浅野敏昭館長が「余市町のアイヌ文化拠点施設構想」と題し、同博物館を改修し地域のアイヌ文化発信スペースを整備する構想に関して詳しく説明。平取町二風谷民芸組合の関根真紀さんは、地元の博物館が地域のアイヌ工芸家の育成を支えてきた状況について話した。
また、北海道大学アイヌ・先住民研究センターの北原モコットゥナシ准教授は「アイヌ民族・文化を主体とした情報発信」と題して報告。アイヌ文化を発信する上で「企画段階や意思決定の場にアイヌ民族の参画をどう確保するかが課題だ」と指摘した。
参加者は16日、ウポポイなどを見学した。


















