苫小牧市の岩倉博文市長の4期目の任期が9日で1年を切った。▽人口減少▽中心市街地再生▽成長戦略―を切り口に、岩倉市政の残る課題を考える。
(報道部 河村俊之)
■人口減少
2018年に釧路市を抜いて道内4位の人口となった苫小牧市だが、人口減少はむしろ深刻化しつつある。1995年10月に到達した17万人の大台を3月に割り込み、6月時点では16万9800人となった。
2006年の市長就任からしばらく右肩上がりに増加を続けたが、13年11月の17万4485人をピークに減少傾向に転じ、6月時点の人口はピーク時と比べて4600人余りも減った。就任時に18%程度だった高齢化率(65歳以上の割合)は、30%に迫る勢いだ。
勇払地区は、日本製紙勇払事業所が長年続けてきた洋紙生産を20年に停止した影響が大きく、06年に2500人以上だった人口も今年に入って1700人台に突入。勇払自治会長の萬誠さん(73)は「地域の高齢化は顕著で75歳以上が約450人に上る」という。勇払小学校の1年生の入学は今春2人にまで減少した。
市は19年度から同地区の住民と定期的に話し合いの場を持つことにした。萬さんは「相談してすぐ解決できるわけではないが、市に目を配ってもらっている」と感謝する。
市内では沼ノ端地区など人口増加が進む地域も一部あるが、人口減でまちが衰退し、さらに人口減を招く負の連鎖から脱却するには、雇用を生み出し、生産年齢人口(15~64歳)の流入を誘うことがまず求められると市長は話す。
■中心市街地再生
JR苫小牧駅南口を抜けると、目に飛び込んでくる旧商業施設「駅前プラザエガオ」。14年に閉鎖し、空きビルのまま7年が過ぎ、周囲の開発も停滞したままだ。元は29法人・個人が権利を持つビルと土地だったが、早期解決に向けて市が権利集約に動き、28人からの無償譲渡にこぎ着けた。しかし、残る不動産業・大東開発との交渉が難航。さらに大東側が市に賃料相当の損害賠償を求める訴訟を起こし、5月の札幌高裁判決で市の全面敗訴が確定した。700万円超の賠償金が公金で大東側に支払われ、権利集約の交渉が続いている。
「三方一両損の考えを参考にしては」。市商店街振興組合連合会理事長で、王子町ではんこ店を営む秋山集一さん(71)はそう提案する。「市民は公金を使われ、損をしている。(市と大東側の)双方も一部折れてほしい。誰もが早期解決を願っているはずだ」と話す。
市長自身が3期の積み残しとして「駅前の再生」を4期目の公約に掲げ、問題解決を約束している。秋山さんは「権利集約が終わった後も、開発までにはさらに数年はかかる。コロナ下も考えれば、これ以上先延ばしすると、各店の自助努力も難しくなる」と長期化を懸念する。
■成長戦略
人口減少時代を乗り切る成長戦略として、市長が打ち出した▽臨空ゾーンの国際リゾート▽臨海ゾーンのロジスティクス(物流全体の最適化)▽ものづくり産業―の三つの柱。しかし、国際リゾートの中核に期待したカジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致は宙に浮いたままだ。
申請権者の道の鈴木直道知事は、来年4月までの国への区域認定申請を見送る考え。一方で、「北海道らしいIRコンセプト」の構築を、見直し作業を進めている道総合計画の素案に盛り込んだ。市国際リゾート戦略室は「できるだけ早くコンセプトを示し、苫小牧市に候補地を特定してほしい」と望みをつなぐ。
市は昨年度、「都市再生コンセプトプラン」と題して、苫小牧港と新千歳空港のダブルポートを生かし、脱炭素社会や多文化共生を含む広い視点の戦略を策定した。市長はIRの誘致活動から「新たなネットワークが生まれた」と自負する。しかし、同プランで描かれたJR苫小牧駅前やウオーターフロントの華やかなイメージ図をどう具現化するかは、全くの未知数だ。
今月、苫小牧港・西港のキラキラ公園にキッチンカーを集め、にぎわい創出効果を調べる実証事業を始めたのはその一つだが、地道な取り組みをどこまで成長戦略につなげられるのか―。猛威を振るう新型コロナウイルスへの対応にも追われる中、残された時間は短い。
















