道内でヒグマによる人身事故が相次いでいる。農漁村の過疎化に続いて、都市部も人口減少が話題になる時代。何の均衡が崩れたのか。
16日までの死傷者数は9人を数え、統計の残る1962年以降最多だという。死者は4月10日の釧路管内厚岸町の山菜取りの男性を皮切りに3人。渡島管内福島町で2日に発見され、性別も不明だった遺体は15日、近くに住んでいた女性と確認された。オホーツク管内滝上町内の山林で12日に発見された女性の遺体も、傷の状態からヒグマに襲撃されたとみられている。
道は14日、関係機関の緊急会議を開き、ヒグマが市街地に侵入した場合の情報交換や対処のありようを改めて協議した。
1915(大正4)年12月に苫前村三毛別(現・留萌管内苫前町三渓)で発生した、ヒグマによる8人殺害事件。丹念に取材して「慟哭(どうこく)の谷 苫前三毛別の人食い羆(ひぐま)」として出版した野生動物研究家、木村盛武さんは、被害を大きくした原因としてヒグマの習性への知識不足を挙げ、確認されたヒグマの行動様式を紹介している。火煙や灯火を嫌がらない。食べ残しを隠す。遺留物を求めて何度でも現れる。行動する時間帯に法則性がない。攻撃が人数の多少に左右されない。加害中であっても逃げる者に矛先を転ずる―などだ。「昼はあまり動かない」など、覚えていることとの違いに驚く人も多いはず。より新しい情報を学び、事故を防がなければ。(水)









