活動が本格化 原種の増殖技術確立目指す ハスカップバンク

活動が本格化 原種の増殖技術確立目指す ハスカップバンク
市民向け講座でハスカップの魅力を伝える脇田さん(左)

 苫小牧市内に自生するハスカップ原種の増殖技術確立を目指す、地元団体による活動が本格化している。今春、市や市造園協同組合、出光興産北海道製油所など6団体で発足した「ハスカップバンク」は増殖に向けた自生種の移植などに取り組んできたが今月、貴重な地域資源として、市民理解を広げる取り組みもスタートさせた。

 市内東部に広がる勇払原野は国内最大のハスカップの自生地だが、1970年代前後の港湾、工業地帯開発で生息域が減少したとされる。

 市や同組合などは2019年秋ごろから、自生種の現状を把握するため、市内各地を視察した上、今月4月に同バンクを立ち上げ、原種の栽培に着手。市内樽前の農家らの協力を得て、企業の敷地内など市内4カ所で試験、研究を進めている。

 同バンクは、原種の成長が最も盛んになるとみられる7月末に挿し木を行う予定。秋には挿し木苗の移植と検証を進め、気候風土に合致した苫小牧ならではの栽培技術習得を模索する。

 事務局の上出昌伸さん(60)は「(バンクの)メンバーと連携し、市内での増殖に向けた栽培法『苫小牧スタイル』の確立を目指す」と意気込む。

 地道な種まきにより、ハスカップの多様性が守られることを知ってもらおうと今月10日には、市内末広町のサンガーデンで初の市民向け講座を開催。育て方をレクチャーした上、実から種を採取し、まいてみる実習を行った。道立総合研究機構林業試験場(美唄市)道東支場長で、同バンクの技術開発指導者の脇田陽一さん(55)は、市民ら約30人を前に「流通しているハスカップのほとんどは勇払原野の原種に起源がある」と強調。「味や形に多様性を持ったハスカップは苫小牧の宝物」と力説した。ハスカップ好きで友人と4人で講座に参加した市内川沿町の60代主婦は「自宅の庭に植えて収穫を楽しみにしたい」と笑顔を見せた。

 脇田さんは長年、ハスカップが地元の銘菓などに使われてきたことで「減少の危機にありながら、種の保全に対する市民理解につながっている」と説く。

 ハスカップは「枝の上にあるもの」を意味するアイヌ語。湿地に自生するクロミノウグイスカグラ(和名)と高山帯になるケヨノミ(同)の総称で、勇払原野は2種が共存する貴重な地域となっている。原種は株によって実の味や形、葉の色合いが異なり、ブルーベリーやブドウに比べてカルシウムや鉄分などミネラル分を多く含有。糖度の強い「あつまみらい」や比較的酸度が強い「チトセカップ」など多様な品種、商標を生み出してきた。

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