登別市の水族館・登別マリンパークニクスは、飼育している雌のカマイルカの出産に成功した。生殖機能を高める投薬など特別な措置を施し、慎重にケアを続けた結果、無事に生まれた。同館によると、飼育下にあるカマイルカの繁殖事例は道内で初めて。スタッフらは「元気に育ってくれれば」と期待している。
子どもを産んだのは、2002年から飼育している「キヨ」(推定19歳)。18日午後2時50分ごろ、1頭の出産を確認した。赤ちゃんは体長約90センチで、雌と判明。スタッフらは、施設のバックヤードプールで母子の体調管理などケアを続けている。
同館は、雄と雌それぞれ2頭のカマイルカ、雌2頭のバンドウイルカを飼育している。カマイルカの雄雌は同じバックヤードプールで育てており、時期になれば交尾の繁殖行動も見られるものの、妊娠には至らなかった。
原因について飼育課は、「雌の周期的な排卵がうまくいかず、授精できないのではないか」と推測し、生殖機能を整え、排卵を促す薬を雌イルカに投与。血液や尿の検査、超音波(エコー)検査を行いながら経過を観察し、昨年秋にキヨの妊娠を確認した。その後も慎重にケアを続け、出産の兆候が見られた時点からは24時間態勢で監視し、出産につなげた。赤ちゃんイルカは、徐々に泳ぎ方がうまくなり、母親のそばで元気な姿を見せている。
同館は、安定した子育て環境を維持するため、来場者の飼育プールへの立ち入りを禁止し、イルカパフォーマンスも当面休止する。須川英治支配人は「水族館は観光だけでなく、生物の種の保存を担う施設でもある。今回の繁殖事例が他の水族館の役に立てば」と話す。親子の様子はSNS(インターネット交流サイト)で発信していくという。
カマイルカは、北太平洋の寒帯から温帯域の外洋、沿岸に群れで生息する。体長は雄2~2・5メートル、雌1・8~2・3メートル。繁殖期は春から秋。妊娠期間は340~350日で、新生児の体長は1メートル程度。出産後の授乳は1、2年続く。

















