世界中が新型コロナウイルスという共通の感染症と闘っているさなか、東京五輪の競技が始まり、あすはいよいよ開会式が行われる。
国内では、選手団の移動で感染の要因とされる人流が生まれている。一方、2回目のワクチン接種を終えた国民は、まだ23・8%(21日現在)。感染者や亡くなった人の数は今も毎日発表されている。感染者数の陰には、休む間もなく治療に臨む医療従事者たちがいる。死者数の背後には、大切な人をそばでみとれなかった親族や仲間がいる。開幕を手放しで喜べる人など、この国にはきっといない。
それでも試合や競技を目にすれば、私たちは応援をすることだろう。どの選手にとっても、5年も待った晴れ舞台。国を背負う重圧も、コロナ下で思うように練習できなかった悩みも、「私たちは五輪を開催してほしい」と口にできなかった苦しみも、すべて糧にして本番に挑む。その強く、真っすぐなアスリート魂に打たれるからだ。
4都県で行われる競技は無観客となり、都内のパプリックビューイングはすべて中止された。デルタ株(インド由来の変異株)による感染者の急増を踏まえればやむを得ず、おうち観戦にした方がいいだろう。どんな形の観戦でも、選手たちは最高のパフォーマンスでコロナ禍の私たちを感動させてくれる。だから私たちも「五輪のせいで感染者が増えた」という状況を生まないようにし、選手たちの健闘を支えたい。(林)









