東京五輪は今夜、国立競技場で開会式を迎える。これに先立ち21、22両日にソフトボールや男女のサッカー競技の予選が催され、今朝からボートやアーチェリーの予選も始まった。女子サッカーの日本の初戦は全国で3300万人以上がテレビ観戦したとされ、五輪の関心の高さをうかがわせる。大舞台で躍動する選手の姿を見るのはやはり楽しい。日本選手であれば、なおさらだ。
かつて日本のプロ野球で「メークドラマ」という言葉が盛んに使われたことがある。低迷する巨人の選手に奮起を促し、ペナントレースで大逆転するという強い意志を、その言葉に込めた。1995年の長嶋茂雄監督が創案した和製英語だ。
今回の五輪は、新型コロナウイルス禍により、さまざまな制約や規制が敷かれ、かつて経験したことのない取り組みの中で行われる。逆境の中で世界の頂点を目指し、磨かれた英知や技術、肉体が激突し、どのようなメークドラマが生まれるのか。
それにしても感染急拡大中のコロナは気になる。東京に出された4回目の緊急事態宣言も人流抑制につながらず、不安は広がるばかりだ。そんな中でも五輪後に衆院解散、総選挙になだれ込むとの憶測が流れている。五輪開催で国民の心に高揚感が生まれることで、政権の数々の「失策」は帳消し。与党に有利に働くとの見立てらしい。
政権の思惑と駆け引きだけが先行する政治の都合の良いドラマだけは、真っ平ご免だ。(教)









