ヒップホップを届けたい 日本を一周するラッパー KZさん

ヒップホップを届けたい 日本を一周するラッパー KZさん
ファンと交流するKZさん

 「日本一周をするラッパー」と銘打ち、3月からミニバンで全国を回っている大阪府出身の異色のラッパー・KZ(ケージー)さん(33)が先月、妻の麻緖さん(29)と苫小牧市を訪れた。生業である営業マンの職を捨て、新婚旅行も兼ねた長旅に踏み切ったのは「社会という枠から逸脱するなという重圧を感じたから」。10~20代を中心に若者らの共感を集めるKZさんに話を聞いた。

 ―なぜ、ラッパーが日本一周を目指しているのか。

 「もっと良い歌詞を書くために、これまで経験したことないものや知らないことを見てみたいと思った」

 ―苫小牧入りは6月24日。日本一周の進捗(しんちょく)状況は

 「苫小牧でちょうど3分の2を終えたところ。3月1日に大阪から旅をスタートし、まず九州や四国を回った。北海道へは6月23日、フェリーで函館に入港した。道内を回った後、7月11日に苫小牧からフェリーで仙台へ向かい、関東・中部地方を回って8月末にゴールする予定だ」

 ―東胆振でまず訪れたのは白老町の民族共生象徴空間「ウポポイ」だった。

 「膨大な量の展示物を鑑賞し、アイヌ文化のカムイ(アイヌ語で神)への接し方が他の宗教にはないもので、とても興味深かった。同時に、これまでアイヌ民族がさらされていた環境を知らずにいたことを後悔した」

 ―日本一周旅行で各地のファンと交流している。

 「新型コロナ禍でやむなく配信ライブを開催した際も、全国のファンがオンライン上に集まってくれた。自分の曲を聴いてくれる人が各地にいるなら、直接会ってお礼が言いたいと思った。1人と2時間話し込んだこともある。『自分もラップがしたい』という男性ファンに、歌詞の書き方やライブに出演する方法を話した」

 ―ファンとの交流を経て得たものは。

 「作詞作曲をする際に出会った人の顔や人生が浮かぶようになった。上は50代、下は高校生と幅広い年代層のファンと話し、誰に向かって歌うかが明確になっている。作品の熱量や密度は格段に上がった」

 ―自分と似た環境の大人に薦めたい曲は。

 「旅に出る前は正社員でいなきゃいけない、人生のレールに乗っていなきゃいけないという意識があった。『俺が死んだ日』は自身の最期の日を思って描いた曲。ぜひ聴いて『人生で本当に必要なものは何だろう?』と考えてほしい」

 ―旅が終わってからの身の振り方は。

 「また定職に就くつもり。離れて分かる仕事の面白みもあった。一般社会の中に身を置きつつ、これからもヒップホップを届けたい」

 ◇メモ

 大阪を代表する16人組のヒップホップグループ・梅田サイファーの主要メンバー。「優しい言葉」にこだわった歌詞は、若い世代を中心に支持されている。

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