取材の合間を縫って国指定の史跡黒井城(丹波市)に足を運んだ。「すみません」。不意に声を掛けられ振り返ると、両親と共に一人の男の子が立っていた。
兵庫県内の小学校に通う6年生の西内教人君。夏休みの自由研究で1570年代に起きた同城城主「丹波の赤鬼」こと赤井直正と、明智光秀との合戦をひも解くという。
「赤井と明智、どっちが強いと思いますか」「黒井城と(明智築城の)福知山城、どっちが好きですか」など通な質問に答え、最後に出身地を聞かれた。北海道と聞くや否や、目を輝かせて「根室のチャシ跡群に行きたいんです」。
祖父と見た黒井城のテレビ特集をきっかけに、城郭に興味を持つようになったそう。気付けば歴史談議に花が咲き意気投合。有名人でもないのに記念撮影にまで応じてしまった。
その日の夕方、写真を現像し宿泊先のホテルまで届けてくれた教人君。日本の名城を紹介した本を携え、「記者さんの先祖は浪岡城と多気北畠氏城館に居たんですよね」。将来の夢は城郭考古学者というが、取材力は抜群だった。新聞記者も一つの選択肢に入れてくれたらうれしいなあ。(北)

















