オリンピックといえば1964年の東京五輪を真っ先に思い出す世代。菅首相と同年代なのだからしようがない。テレビや銀幕のアベベ、東洋の魔女を応援していた。
競技への関心も事前学習もまったくない山あいの中学生が、三波春男さんの美声と小節を耳にたこができるほど聞かされただけで五輪騒乱の渦中に投げ込まれた。体育館の台に乗せられたテレビの小さな画面をガヤガヤと見た。バレーボールだけでなく体操もレスリングも、ルールや技の名前を知らなかった。同学年のKが、体操の鉄棒や床運動の一部を独学で習得して、見せてくれたのを思い出す。
57年後の東京五輪。新聞のテレビ番組欄を見ると、改めて時の流れを思い知らされる。3×3、スケートボード、サーフィンなど聞いたことのない種目名が並ぶ。ルールは分からず、解説を聞いても意味不明。メダル取得者のインタビューを聞くともう単語だけでなく言葉遣いも自分の世代とは違うようだ。
卓球やソフトボールの日本の好成績を喜んでいる間に、台風8号が今朝、ついに宮城県に上陸した。日中に東北を横断するとの予想。新型コロナウイルスの感染者はきのう、東京で過去最多の2848人。札幌や沖縄でも数字は増える一方だ。病床不足などの危機は予想より早まりそうで、専門家の表情が厳しくなっていく。「ついテレビを見過ぎて」という人が周囲に多い。迷走は政治に任せて、備えを点検し直さなければ。(水)









