エール

エール

 日本の選手の奮闘に活力をもらっている。取材力を競い合って報道各社が選手の声やこの舞台に至るまでの辛苦のエピソードを伝えてくれるから、何度も目頭を熱くする。涙腺は緩みっ放しだ。

 とりわけ柔道男子73キロ級で、リオ五輪に続き連覇を果たした大野将平選手の言葉に心は揺さぶられた。「厳しい戦いが続いて、オリンピックで理想の柔道を体現することの難しさを感じた」とは優勝直後の言。日本柔道の神髄に迫る心技体の在り方にこだわり、圧倒的な強さを見せてさえ「まだまだと思った」と語った。激闘の末に5年越しの目標を達成しながら、その瞬間も表情は崩さず、礼を交わし、健闘をたたえ合い、畳を下りて感情を表した。スポーツ競技としての格闘技の枠を超えて一つの「道」に生きる、孤高の柔道家の姿とともにメダルはいやまして輝いた気がする。圧倒的な存在感、責任感、高い理想と志をたたえたい。誇りに思う。

 パンデミック(世界的大流行)を引き起こしたコロナ禍にあって、開催を1年延期してなお私たちは五輪の在り方に解を見いだせないでいる。毎日の競技者の熱戦を応援しながら、社会と個々の感染症との戦いを並行して進めなければならない。これまで、そしてこれからも医療の現場で決死の覚悟で感染症患者の治療に当たり続ける医療従事者、私たちの生活を支えるエッセンシャルワーカーと呼ばれる人たちの戦いにも感謝の意とエールを送りながら。(司)

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