「国民と政治の間で危機感が共有されていない。強く分かりやすいメッセージを」。28日の衆院内閣委での尾身茂政府新型コロナ分科会会長の発言に考えさせられた。
昨年1月、国内で初めて感染者が確認されて始まった日本の新型コロナウイルス禍。約1年半が過ぎた29日に、全国の1日当たりの新規感染者数が1万人を超え、きのうも2日連続の1万人超え。とうとう爆発的な感染拡大の危機を迎えた。緊急事態宣言、まん延防止等重点措置など何度もの対策が取られたものの、効果はいずれも短期間。テレビ画面に映る東京や大阪の繁華街は常ににぎわって見えていた。「行政が協力を呼び掛け国民が理解して行動」という構図の限界なのか。「甘いんじゃない?」。テレビからはそんな物騒な言葉が聞こえてくる。
政府はきのう、8月2日から31日まで、東京など6都府県に緊急事態、北海道など5道府県にまん延防止の網を掛けることを決めた。菅首相は会見で「今回の宣言が最後となる覚悟」を話した。覚悟は、若者や働き盛り世代に届いたのだろうか。
強く分かりやすいメッセージを求められているのは政治や行政だけではあるまい。国会は、もっともっと説得力のある言葉で対策の不足を指摘し充実を求めてほしい。自分は家族や友人と、夏休みや盆の帰省、繁華街への出入りなどついて本音で話し合ったことはあったろうか。言葉や行動で、共感できる指針を示しているだろうか。(水)









