笑いたい

笑いたい

 夏季五輪で日本選手最年少のメダリストが誕生した。スケートボードの女子パークで銀メダルに輝いた12歳の開心那選手。「かっこいいスケーターになって自分のシグネチャーモデルを作りたい」とインタビューに答えていた。シグネチャーモデルとは、特定の人の名を冠した製品のこと。初めての大舞台で堂々と大技を決め、笑顔で明快に目標を語る。史上最年少には「何も思わない」。地元・苫小牧もそのかっこよさに沸いている。

 賛否が分かれた東京五輪も終盤を迎えたが、開幕直後からずっと気になっていることがある。男子体操の鉄棒で落下した内村航平選手。4大会連続出場で金メダルを期待され続けた「絶対王者」。五輪開催への否定的な意見が強まった昨年11月には「『できない』じゃなくて『どうやったらできるか』をみんなで考えてほしい」と語った。開催に反対だったとしても、アスリートとしての真っ直ぐな訴えが心に響いた人は多いと思う。

 その内村選手が「土下座して謝りたい」と言った。橋本大輝選手が初出場で金メダルの快挙を成し遂げたときも、内村選手の言葉が頭から離れなかった。大会前、「シンプルに、着地終わった後、笑いたいですね」と話していた。橋本選手をはじめ「内村航平」を目標に頑張ってきたアスリートや、内村選手に憧れ体操を始めた子どもたちがどれだけいるか。何一つ謝ることはない。着地の後に笑う姿をもう一度見たい。(吉)

関連記事

最新記事

ランキング

一覧を見る

紙面ビューワー

紙面ビューワー画面

レッドイーグルス

一覧を見る