世界205の国・地域と難民選手団の選手ら約1万1000人が参加し、17日間にわたって催された東京五輪は8日、閉幕した。閉会式が行われた国立競技場の大型ビジョンに最後に描かれたのは「ARIGATO(ありがとう)」の文字だった。
新型コロナウイルスの世界的な流行で五輪史上初めて1年延期しての開催となった中、全力を尽くした選手や大会を支えた運営スタッフへの感謝の意味が込められた。この大会で日本は過去最多となる金27個を含む58個のメダルを獲得。メダルに手が届かなかった選手も含め、最高の舞台で躍動する選手にテレビ画面を通して応援し、悲喜こもごも感動を共有した。
大会期間中、印象に残ったのは、競技を終えた選手から聞こえてきた感謝の言葉だった。コロナ禍で開催が危ぶまれ、不安を抱える中、戦う場を与えてもらったこと、運営スタッフの細やかな心遣いに感謝する内容がほとんどだった。一部に五輪中止を求める声が最後までやまなかったが、五輪が開かれなければ、選手との感動共有もなかった。コロナ下の異例な形での開催は今後、歴史を刻む中で検証されていくのだと思う。
スポーツは一つの規則の下で互いが優劣を競うところに妙味がある。国内のコロナ感染者は依然拡大傾向だ。私たちはもう一度、感染予防のルールを徹底して守り、社会の共通の敵であるコロナに立ち向かいたい。24日からパラ五輪が始まる。(教)









