熱狂の東京五輪が終わり、少しの寂しさの中で日常が戻ってきた。気が付けば新型コロナウイルスの感染者が拡大を続け、再び緊急事態宣言を全国に広げる議論さえ出ている。ワクチン接種は着実に進んでいるはずなのに、最後の武器もなかなか効いてくれないようだ。
このままでは、五輪開催時より厳しい環境の中で開幕することになるのが東京パラリンピック、障害者のスポーツの祭典だ。
パラリンピック自体が始まったのは61年前のローマ大会。障害者スポーツへの理解は高まりつつあるが、健常者のスポーツに比べると課題は山ほどある。
そもそも障害者スポーツの窓口は、健常者のスポーツを管轄する文部科学省ではなく、2014年まで厚生労働省だった。つまり、スポーツであっても福祉施策の一環の位置付け。大会に出場する選手は地元の社会福祉協議会などが受け皿になって対応していた。15年にスポーツ庁が新設されたことで体制はようやく整いつつあるが、地方ではむしろこれからと言っていい。
もう20年以上も前になるが、当時苫小牧で障害者スポーツの指導者はたった1人だった。何度も聞き返したことを覚えている。今でも健常者と障害者の指導者資格は一元化されていない。全国に先駆けてスポーツ都市宣言をした苫小牧だからこそ、障害者スポーツの面でも誇れるような環境整備を期待したい。(昭)









