墓参

墓参

 亡くなった父と母は大正の生まれ。確か父は5人、母は8人きょうだいだ。愛称の記憶がかすかに残るだけのおじやおばも何人かいる。

 その次の世代である自分は3人きょうだい。戦後の混乱の残る昭和20年代前半に生まれた、いわゆる団塊の世代に当たる。きょうだい3人が育てた子どもは、2人ずつの計6人。わが家の息子2人は今、1人と2人の子育てをしている。小学生と幼稚園児の孫が何人の子を育てるかは分からない。富国強兵と産めよ増やせよの時代は敗戦後すぐに否定され、少子化は76年をかけて着実に進んできたことが身辺の3~4世代の人数を指を折って数えるだけで分かる。

 厚生労働省が6月に発表した2020年の人口動態統計(概数)によると20年の出生数は初めて90万人を割り込み、84万832人になったそうだ。1970年代の前半には200万人を超えていた―と示された棒グラフの高い山を、目をこすって見直した。統計には今年1~3月の速報値の出生数も示された。前年を9・2%も下回り、21年は新型コロナウイルス感染の影響が大きく出そうだという。

 霊園に出掛け小さな墓石に花を供えた。県境を越えない選択をしたから今年も孫たちはいない。合葬墓の利用者増加など、霊園でも合理化や簡素化は進むが駐車場はかなりのにぎわい。新しい墓石も目立つ。改めて統計を見れば20年の全国の死者数は137万2648人。出生数より53万人以上も多い。(水)

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