「希望の火」 道内最古の発火技法 厚真、安平で採火式

火打ち石をこすって発火させる町民=厚真町の軽舞遺跡調査整理事務所

 東京パラリンピック(24日開幕)に合わせ、胆振東部の厚真町で14日、安平町で15日、聖火の採火式が行われた。それぞれ先人の発火方法で火を付けてともした。

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 厚真町では、町内関係者のほか、リモート参加をした多くの町民が見守る中、町内の軽舞遺跡調査整理事務所(旧軽舞小学校)で行われた。約1000年前に本州から伝わったとされる「火打ち石」を使い、地元が誇る道内最古の発火技法を用いて「希望の火」をともした。

 町教育委員会によると、火打ち石は厚幌ダムの建設に伴い、2004年の上幌内モイ遺跡の発掘調査で見つかったもの。たき火跡から小さなチャート(堆積岩の一種)のかけらが数多く見つかっていることから、本州の発火技法を知る人が1000年前に厚真の山奥にいたことが分かり、町の歴史を伝える上で貴重な資料にもなっている。

 採火に先立ち、町運営・実行委員長でもある宮坂尚市朗町長は「一つは障がい者への希望をつなぎ、支える。もう一つは胆振東部地震からの復興、さらに新型コロナウイルス感染症の終息―三つの願いを込め、集火式に皆さんの気持ちを届けて」と激励のあいさつ。

 この後、代表した町民5人が五輪にちなんで五つの輪が置かれた各テーブル上で火起こしに挑戦。先人の発火技法を体験するとともに、それぞれが付けた火を一つにまとめた。

 採火を行った富永洋子さん(77)は「なかなか火が付かず、難しかったが、付いた時には感動した。一生の思い出だね。良い経験をさせてもらった」と笑顔で振り返った。

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 安平町では、町内の小中学生10人が参加し、早来小学校体育館で行われた。大会の成功と震災復興、新型コロナウイルスの終息を合わせて願った。

 及川秀一郎町長は「(胆振東部地震の)被災直後から現在に至るまで、多くの支援やボランティアの協力いただいた感謝の気持ちを込めて火起こしをしていただきたい」と呼び掛けた。採火は3グループに分かれて、木の棒の摩擦を利用して火種を作る「マイギリ式」と呼ばれる発火技法で実施。それぞれの思いを込めて付けた火を一つにまとめ、及川町長がランタンにともした。

 早来中学校2年の城畑有玖さん(13)は「こつがいるものだと思っていたが、慣れるまでが大変だった。達成感より、ちゃんと付いたというホッとした気持ちの方が大きかった」と振り返り、「自分の思いが東京に届くのは光栄です」と笑顔を見せた。

 採火した火は16日にオンライン上で一つにまとめられ、東京に届けられる。

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