苫小牧市の全国高校選抜アイスホッケー大会のクラスター(感染者集団)で、感染者は16日までに128人と3桁に上り、拡大の一途をたどっている。大会開催に当たって定めた感染予防対策は十分だったのか、発生後の拡大を抑える手立てはなかったのか―。アイスホッケー部もある関西大学で、公衆衛生学を教える高鳥毛敏雄社会安全学部教授に聞いた。高鳥毛教授は「出場校の選手から発熱者が出た時点で、即刻中止すべきだった」と指摘する。
大会は苫小牧市などの主催で、3~8日に市内で開かれ、全国から26チームが出場。大会運営スタッフや報道関係者も含め1000人近くが参加した。全国で感染が拡大する状況下を踏まえ、高鳥毛教授は「相当に慎重な対応が必要だった」とみる。
市によると、感染に関わる最初の報告は7日午前10時半。道外高校の選手4人が発熱し、同日の準決勝を棄権。翌8日のPCR検査で同校関係者29人(後に全員)の陽性が判明した。その後、他の出場校や大会関係者にも感染が拡大。多数の市職員が濃厚接触者となり、市役所業務の一部にも影響が出た。
一方、大会は7日に準決勝1試合、8日に決勝と閉会式が行われた。市の担当者は「残る試合の出場校は発熱者が出た高校と対戦しておらず、問題ないと判断した」と説明する。これに対し、高鳥毛教授は「感染源、感染経路が分かっていなかったのならば、即刻中止すべきだった」と疑問視する。
大会は無観客とし、入場時の検温や会場の小まめな消毒を実施した。日本アイスホッケー連盟などのガイドラインを参考に市独自の基本方針を作り、出場校には大会2週間前からの体調チェックシートの記入と提出、各場面の留意点を示し、順守を求めた。
しかし、高鳥毛教授はデルタ株(インド由来の変異株)の特性から「従来株より無症状者の割合が高いのではないかと推測され、発熱などのチェックだけでは未感染者とは言えない」とも指摘。「若い人は元気なので、感染しても無症状のまま自然治癒する場合も多いと思われる。出場校にはPCR検査の実施が必要だった」とした上で、今大会のクラスターは「プロ選手や大学生と比べ、高校生に感染予防の徹底を図る難しさを示しているようにも思う」と述べた。
また、激しい接触プレーや選手の入れ替わりも多いアイスホッケーは試合中の感染リスクもあるとし、「野球やサッカーと違い屋外競技でない点からも、対策に難しさが伴う」と警鐘を鳴らす。今後の大会運営には「試合期間よりも前後に長い観察期間を設け、PCR検査で感染者の早期発見に努めること」が必要だと指摘し、オリンピックのように関係者と外部の接触を遮断する「バブル方式」の導入を提案した。
















