一歩

一歩

 プラスチックが大量に使われるようになったのは20世紀の半ばからという。その時期に生まれ、普及のありようを、つぶさに見てきた。

 菓子は紙袋で買っていたがつるつるのプラスチックの袋入りになった。木や鉄板製のおもちゃがプラスチックに変わった。ジュースやサイダーのガラス瓶は軽いプラスチックになった。中学生の頃はプラモデルが大流行した。家電製品や農漁業の資材にも軽くて加工しやすいプラスチックが次々と進出した。

 プラスチックは今、海洋や海岸、上流の河川汚染の大きな原因になり、魚などの生息に悪影響を与え、人への害も心配されている。保坂直紀著「海洋プラスチック 永遠のごみの行方」(角川新書)では、私たちがこれまでに生産したプラスチックの量についての研究を紹介している。これまでに生産したプラスチックは約83億トンとか。地球に生きる77億人がほぼ1トンずつ背負い、その行方や処理法をしっかりと決められていない。

 日本では昨年からレジ袋の有料化が始まった。さらに対策の強化が求められており、環境省と経済産業省はプラスチックごみの削減に向けてコンビニやホテルなどが提供しているスプーンやナイフ、歯ブラシやヘアブラシなど12品目の削減を事業者に義務付ける方針を固めた。

 使う量を減らすこと。そして正しく排出すること。一本から一個から一枚から―。それはパラリンピックの競技者の鍛錬の一歩と、きっと似ている。(水)

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