苫小牧市北光町のアパートで2020年11月に起きた幼児死体遺棄事件をめぐる市の対応について、市は25日の記者会見で、内部検証の結果を公表した。母親の生活状況を心配した情報提供者から5回電話があったが、記録は1件しか残っておらず、検証委員会は「情報共有や他の部署との連携について想像力や洞察力が不足しており、改善の余地がある」と指摘。市は個々の職員のスキルを補う組織連携の仕組みづくりに加え、課題を抱える家庭の把握に向けた体制を強化する方針を示した。
岩倉博文市長は「検証して終わりではなく、(事件を)教訓として二度と起きないよう組織、職員としてどうあるべきか考えていかなければ同じような事件が起こり得る」と断言。「第三者からの情報提供時の対応や仕組みを考え直し、マニュアルを時代に合ったものに変えるという努力を含め、検証結果を基に踏み込んで取り組んでいくべきと考えている」と述べた。
市は福原功副市長をトップに関連部署の部長・次長職で構成する組織間連携内部検証委員会を設置し、今年5月から検証を開始。今月、結果をまとめた。
それによると、生活保護を担当する生活支援室の情報受理簿には情報提供者からの電話の記録がなく、記憶している職員もいなかった。しかし「記録がないことを理由に情報提供の存在を否定はできない」と判断。生活保護の申請は本人の意思に基づくことが原則のため、生活保護の相談ではないと考え、記録が残らなかったとみられる。
唯一記録があったのは20年11月。情報提供者が「本当にまずいよ。こども死ぬよ」と伝え、生活支援室から総合福祉課、こども支援課に情報が渡って家庭訪問など具体的な対応につながった。こうした流れが、総合福祉課の支援経過記録シートに記載されていた。
これを受けて市は、福祉関連部署で情報提供への対応フローを作り、当事者の氏名と連絡先を確認した上で相談内容に応じて、関係部署と共に対応することを決めた。また、上司や同僚に相談するように意識付け、必ず「情報受理簿」に記録する、とした。さらに庁内全職員を対象に、情報提供処理簿を各課に備え、庁内ネットワーク内に共有できる形で管理。職員が一人で抱え込まず、複数の職員で共有する体制構築を目指す。
一方、母親は一時、生活保護を受けていたが自ら市との連絡を絶った経緯があり、要保護児童対策地域協議会の実務者会議に、こども相談課と生活支援室を追加し、生活保護受給中で子どもがいる心配な世帯の情報共有を図る。市の「ふくしの相談窓口」も、包括的な相談支援が行えるよう世帯丸ごとの相談を受ける体制を整える。
















