自宅療養

自宅療養

 新型コロナウイルスとの闘いは1年半以上にもなる。もうマスクを着けることへの抵抗感はなくなったが、自然と行動範囲は狭くなり、意識はしなくてもストレスを感じることが増えてくる。「災害」とも言える感染症を乗り越える時期はいつなのか。多くの市民が不安を抱えている。

 感染爆発で緊急の課題として浮上したのが「自宅療養者」への対応だ。入院できる医療機関がなく、やむなく自宅で様子を見る状況だが、症状が急変して亡くなるケースも出ている。都市部ばかりではなく、地方でも抱える問題だ。

 福井県の取り組みが参考になる。目的を「自宅療養者ゼロ」に据え、それを達成している。昨年の4月から県や医師会、国立病院など関係機関のトップが集まり、目的への議論を重ねた。当初は反対意見も噴出し、かんかんがくがくの激論をしながら物事を集約した。トップが出ているので即決できる。共有したのは危機感だ。間もなく始まるのが野戦病院の開設。コロナ病床の確保は難しいが、診療は可能な開業医の医師らも協力。簡単な治療も行う。

 こうした野戦病院の議論は昨年から国会でもされていたが、一向に進まない。1万5千人の命が奪われているにもかかわらず、政府は自宅療養ですら右往左往する。宰相の記者会見からは危機感が伝わらない。地方発でも成功の仕組みがある。なぜ生かそうとしないのか。歯がゆさが残る。(昭)

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